教室にもどると、クラスはすっかりいつもと同じ雰囲気に戻っていた。
ただ違うのは話題。
滅びるとしたら、それまでをどう過ごすか?
滅びる瞬間を、誰と一緒に迎えるか?
地球の滅び方。
……
席まで辿り着くと机に突っ伏した。
背中に陽光を、視界に闇を感じながら周囲の音になんとなく耳を傾ける。
予鈴が鳴った。
教室の外にいた連中がばたばたと慌しく入ってくる。
俺は体を起こすと、なんとなく周りを見回した。
廊下側の真ん中、普段あまり注目を集めないような場所。
河合は、何をするでもなく、座ったまま前を見ていた。
たぶん、世界が滅びるとしても、俺の生活は変わらないだろう。
毎日学校に行き、特別熱心に授業を受けるわけでもなく、部活に打ち込むわけでもなく、ただ漫然と日々を過ごすだろう。
誰かの為に時間を使うわけでも、自分のために時間を使うわけでもない。ただ時間は過ぎ去るだけだ。
欲を言うならば、滅びる瞬間には土手で空でも眺めていたい。土手じゃなければ、屋上でもいい。あそこから見る空の蒼さは、何か新鮮な蒼さだった。
「たとえ地球が滅びたとしても、あの青い空はどこかへ続いていく」と、俺は思った。
・・・・・・
「河合も似たようなことを考えそうだ」と、なんとなく俺は思った。
"Riven",a tiny love story's here