Riven

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 放課後、帰ろうとするところを呼び止められた。
「市本君」
 振り向くと、長塚が後ろに立っていた。どうやら呼び止めたのは長塚らしい。
「俺になんか用?」
「掃除当番」
 言ってから、右手に持っていたホウキを俺のほうにぐいと突き出してくる。
「マジで?」
「仕方ないじゃない。当番なんだから」
 強引にホウキを握らせて、さっさと床を掃き始める。ここまで来て逃げるわけにも行かないので、しぶしぶカバンを机に放り出して反対側から掃除を始める。
「全く、なんつー運の悪さだか」
「今日で学校最後だっていうのにねー」
 やれやれといった調子で肩をすくめて、それからうーんと伸びをする。
「ねぇ、市本君」
「ん? なんだ?」
「明日からどうするの?」
 今日、学校中を飛び交っていた質問だ。
「どうもしない」
「え?」
「普通に学校に来ると思う。大体、本当に世界が終わるかなんて俺にはわからないし」
「そっか。そうだよね。未来のことなんて誰にもわからないよね」
 何だ、よかったというように笑顔を向けてくる。
「長塚はどうするんだ?」
 俺の問いかけに、長塚はそのままの笑顔で答えた。
「私も一緒だよ。明日も学校。部活もあるしね」
 今日もこれから部活なんだけど、と付け加える。
「さあ、さっさと掃除をおしまいにしちゃおうよ」
 そういって長塚はちりとりを持ってごみを集め始める。
 そうだ。ちょうどいい機会だから長塚に聞いてみよう。こいつは誰とでも仲いいからきっと何か知ってるはずだ。
 そう思って、長塚の背中に声をかける。
「もうひとつ聞きたいんだけど…」

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"Riven",a tiny love story's here